第一章 空を飛ぶ夢
第二章 猫魔女
第三章 夢研究会
第四章 新入部員
第五章 ヒマラヤ行商人
第六章 アンモナイトの夢
第七章 悪夢
第八章 エピローグ──全員夢──
目次タイトルをクリックで移動します。
   
登場人物
僕(クサカ)
カワシマさん
フジサワ
ヤマグチ
カトオカさん

第一章 空を飛ぶ夢

 大空を自由に飛びまわる夢を見たからって、興奮するのはばかげている。冷静に考えてみたまえ。そんなこと、現実にはありえないのだ。ガキじゃあるまいし。しかしもし、そんな能力が自分にあると仮定してみる。当局に捕らえられ、鳥かごの中のカナリアよろしく、飛ぶことよりも、鳴くことのほうを訓練されるはめになるはずだ。
 今見た夢は、危うくまさにそういう悲劇になるところだった。夜十時半に床に就き、うなされて起きたのが深夜1時半だから、正味三時間、ずっとえたいのしれない組織に追われ続けるという夢を見ていたのだ。内容はメモを取れるくらい鮮明に思い返せる。僕が空を飛べるという能力を持っていることが、とある悪の組織にばれてしまうのだ。僕は空のない巨大な空間に追い込まれる。林立したビルの壁をよじ登り、必死に飛べる空間を探した。大きな窓がある。ここは外ではないのだ。窓を開けると、手の届く距離に隣のビルの壁。下は奈落。壁に付いた鉄製のさびたはしごを登りつめ、屋上にあったのは、天井だった。そこに人一人が通れそうな通気孔が上へと続いている。僕は迷わずそこへ飛び込んだ。ものすごい追い風。その先にあったのは、紛れもなく大空だった。僕は自由に大空を飛んだ。こうして、僕は追っ手から逃れ、その閉鎖空間から脱出することに成功したというわけ。
 だが、現実ではまさに閉鎖空間の真っ只中に僕は居た。それはつまり学校のことだ。もちろん、卒業しようがどうしようが自由などどこにもないと、このときはまだ気付いていなかったんだ。それに当然だが、空も飛べない。
 空を飛ぶ夢は小さい頃によく見たものだ。新聞紙でできた羽をばたつかせて飛ぶ夢。地上すれすれをすべるように飛ぶ夢。美しい湖の上を、鳥の群れを眼下に見ながら飛ぶ夢。どうしてそんな夢をよく見るのか、自分でもわからない。思うに、何かから逃げたいという欲求が見させるのではないか? いや、夢は記憶の断片が意味なくつなぎ合わさって見えるものだと、何かで聞いたことがある。ということは、僕は空を飛んだことがあるのか? 何かから逃げたいというのであれば、見当がつくが──つまり、現実が僕にとっては地獄のように過酷だということがわかるわけだが──、記憶の断片ということはそれこそありえないのではないだろうか? 前世の記憶? まさか、たとえそうでも歴史の教科書に空を飛ぶ人のことなんか、まったく載っていないではないか。異次元? うーむ、少しはありうるかもしれないが、異次元空間が実際にあって、しかもそこに空を飛べる人が住んでいるというのは、はは、ファンタジーの世界だぜ。夢と空想の産物。それが“バードマン”だ。
 僕はバードマンになりたいのか? ガードマンの求人広告なら、いやと言うほど毎日のように新聞に挟まっている。後にまさか死にもの狂いでそれをあさることになろうとは、もちろん今はつゆとも知らない。話を戻すが、バードマンは僕のことだ、とは思っていないが、それに近い考えはひそかに持っている。つまり、僕はバードマンの末裔で、何かしらの呪いで能力が発揮できないでいるのだと。いかれているとお思いだろうが、あれだけ頻繁に空を飛ぶ夢を見れば、そう考えるようになっても不思議じゃないだろう? あとは信じる度合いということになるが、僕の場合、今は半信半疑だ。それでも普通の人に比べれば、五十パーセントも信じているのだから、それはきちがいの部類に入るかもしれない。その割合が百パーセントになったとき、僕は本当に空を飛べるかもしれない。でも今の僕はそれは絶対にできない。なぜかって、さっき言った何かしらの呪いみたいなものが僕の中にあるからだ。


第二章 猫魔女

 僕が呪いだと思うのはあるとき見た夢のせいだ。また夢の話かといささかうんざりさせられるだろうが、僕にとって夢は神の啓示に等しいのだ。よく言うではないか、それによって、ジャンヌ・ダルクが百年戦争を終わらせたとか、モーゼがユダヤ人をエジプトから解放したとか、そんな類の話だ。今まで別に夢によって、何かが変わったという経験はしていない。でも、この前見た夢は、明らかに神の啓示と言ってもいいだろう。
 登場人物は“猫魔女”。要は猫の魔女だ。ややこしいが、猫の姿をしているが二本足で歩行し、魔法をあやつる魔女だ。魔女と言うからおかしいと思うのだろうが、けっして魔猫とは呼びたくない。間の抜けた猫みたいだからだ。何度も言うが、猫の魔女だから“猫魔女”なのだ。
 僕は小さな戦車に乗って、とある山へ向かっていた。戦車に乗ってと言っても、中に搭乗しているのではない。亀の背に乗った浦島太郎よろしく、文字通り、乗っかっているのだ。小さいのにものすごいスピードで走る。僕は何度か振り落とされそうになる。乗組員がやるような操縦はしていない。この戦車は僕の意思に反応して動くのだ。
 そのシークエンスじゅう、猫魔女が画面の横で半透明の立体映像となって、ずっと戦車に乗った僕を見つめていた。
 橋を渡ると、目的の三角山だ。そこには猫魔女の研究棟がいくつかあり、あたりは薄暗く、明かりが灯っている。僕はその施設をかたっぱしから、その戦車についた砲でぶっ壊していった。
 なんなんだ、この夢は?
 猫魔女が観客である僕に振り返って言う。
「よくもこんな仕打ちを。あなたに呪いをかけます。この呪いは、あなたが利他の心を持ったときに解けるでしょう。それまで永劫苦しむがいい!」
 “りたのこころ”? なんだそれは? 僕は最初、“りた”とは外国人の名前か、あるいはロリータの略かと思った。前者はともかく、後者の言葉を知っているというのは、青少年育成条例に反しているものを見たと思われても仕方ないな。僕は起き上がり、照明をつけて、机の上に転がっている辞書を手に取り、引いてみた。
「自分の犠牲によって、他人を幸福にすること」とある。
呪いを解くのは、意外と簡単そうだと思った。しかし、それが人間にとっていかに困難なことか思い知ったときに、僕は言葉の意味を二度見することになるとはまったく思っていなかった。いや、二度ではなく、何度も。


第三章 夢研究会

 僕がさっき話した夢はすでに、夢研究会のみんなに話した。この“夢研究会”というのは、幽霊部員ならぬ幽霊クラブみたいなもので、と言っても、ご賢察のとおり、幽霊を研究するクラブではなくて、あってないようなクラブという意味である。放課後に普通だったら帰宅部のヒマなやつらが集まって、昨日──いや、実際には今日の早朝のことが多い──見た夢について語り合うというものだ。語ると言っても、ほとんど雑談に近い。唯一それをクラブたらしめているのは、話題が必ず“夢”に関するものに限られているということだ。もちろん、将来について話すのではない。人間がレム睡眠に入ったときに見るもの、そうその“夢”だ。
 今日は美人のカワシマさんが最初に話題を切り出した。
「私、昨日、飛び降り自殺した夢を見たの。この学校の屋上からね。でも、それは未遂に終わったの。この間、クサカ君が話したでしょ? バードマンよ。バードマンが飛んできて助けてくれたの」
 申し遅れたが、僕の名前はクサカ・カズトシ。この夢研究会の書記兼部長を担当している。要は僕が作ったクラブなのだよ。僕は帳簿に「飛び降り自殺、バードマンが助ける。カワシマ」と記入しながら言った。
「ふうん、僕の夢の一部がカワシマさんの夢にリンクしたんだねえ。おもしろい。このことからも、記憶が夢の大部分を占めているのがわかる」と僕。
「にしても、自殺って、穏やかじゃないな」と言ったのは、ちょっとエスっ気のあるフジサワだ。
「そうだな。カワシマさん、何か悩みでもあるの?」と僕は尋ねた。
「まあね」とカワシマさんはそれ以上答えなかった。
「ある人が見た夢の内容が、別の人の夢に反映されるってのは、はは、まったくどういうことなんだよ」と疑問を投げかけたのは坊主頭で眼鏡のヤマグチだ。
 僕を含めた以上四人が、いつもの常連メンバーだった。
「夢がリンクするっていうのはよくある話なんだよ。デジャブって知ってるだろ? 既視感、つまり、一度見たことが繰り返して起こったように感ずることと、夢のリンクはよく似ているんだ。例えば映画で、ある人物が見た光景を別の人物が再び見るっていうシークエンスが効果的に使ってあるのを観たことがあるだろう? あのアイデアはどうして思いついたかわかるかい?」と僕は他の三人に尋ねる。
《わからない》と三人。
「答えは簡単だよ。それを実際に体験した人が居るんだよ」と僕。
「しかしだぜ、カワシマは実際に自殺したわけじゃないだろ? 体験じゃない」とエスっ気のあるフジサワ。
「予知夢みたいなものじゃないの?」と坊主頭で眼鏡のヤマグチ。
「バカか、おまえ。自分が自殺するのを予知してどうするんだよ」とフジサワ。
「じゃあ、それさえも誰かの夢とリンクしたってこと?」とヤマグチ。
「ありえる」と僕。
「──私、私ね、自分でも何をしているのかわからなくなることがあるの。だから、そういう夢を見たのも、私の頭の中がおかしくて、それで──」とカワシマさんは言いかける。
 僕がそれを遮る。
「そんなことはない。カワシマさんは成績は優秀だし、スポーツもできる。おかしいはずはないよ」と僕は言った。
「ヒュー、ヒュー! おまえ気があるんじゃないのか、カワシマに」とエスっ気のあるフジサワ。
「おまえのエスっ気にはかなわないな」と僕はやれやれだ。
「話をそらすなよ、フジサワ。俺らはまじめで高尚なことを話してるんだぜ」とヤマグチ。
「お言葉ですが、和尚様、あんたの夢はみみっちいのが多過ぎますぜ。ちょっと貸してみ、クサカ」とフジサワは言って、僕の目の前に広げられた夢の帳簿を取り上げた。「──えーと、ヤマグチのはと、えー、女の子とウィンドウショッピング、古本屋でエロ本を万引き、メロンを腹いっぱい食う、それから、道端で大金を拾う、と」
「やめろ、サド野郎! おまえだって似たりよったりだろ?」とヤマグチ。
「まあまあ、二人とも。夢というのは誰だって選択はできないんだよ。願望が反映されることはあるみたいだけどね」と僕はなだめたつもりだった。
「そらみろ。おまえの願望はせこいことばっかりなんだよ」とフジサワ。
「おまえのもな」とヤマグチ。
「やめてよ。私、あなたたちにけんかして欲しくて、自分の見た夢を話したんじゃない。──私、帰る」とカワシマさんは言うとかばんを持ってぷいっと帰ってしまった。
「二人とも、今日は大人気ないぞ。いや、今日も、か」と僕は二人に向かって言う。
「おまえだけ大人ぶりやがって。下世話につきあってやってるだけでもありがたく思え。じゃあな」とフジサワはいつものようにきついことを言い捨てて、帰った。
「ごめん、クサカ。俺はそんなつもりじゃなかったんだ」とヤマグチ。
「いいんだよ。いつものことさ。放課後に僕らが会議室に集まるのは奇跡だってことだよ。今日はこれでおひらきにしよう」と僕。
 僕はみんなには言わなかったが、母さんが高いところから落下していく夢というのを見たことがあるんだ。あれはもうだいぶ前のことで、この夢研究会が発足する以前の話だ。今のところ、その夢は予知夢でも、正夢でもない。母さんは心身ともにぴんぴんしてる。でも、僕が母さんの悲劇を知らないわけではない。酒乱の暴力親父と結婚し、僕を産み、離婚して、つらい母子家庭になったことを僕が悲観してないわけがないのだ。それがあの悪夢になり、カワシマさんの夢とリンクした。でも、僕はまだこの夢のことを誰にも話してないはずだ。なぜなんだろう?
 僕が後に考えた仮説は、想像したことでさえ、記憶になりうるということ。その想像の記憶が、実際に体験した記憶と混ざり合い、あのえも言われぬ夢が生まれるのだ。そこには、可逆性がある。見た夢は記憶になるし、体験して記憶したことも想像の材料になるということである。つまりは、「メビウスの輪」とか、「クラインの壷」とか言われるものと同じように、記憶(体験)、想像、夢の三者は、表裏のない連続したものだと言えるのかもしれない。


第四章 新入部員

 そいつがやって来たのは、ある雨が降りしきる土曜の午後のことだったんだ。当時はまだ週五日制ではなかった。土曜は午前中だけ授業があり、午後はクラブ活動というわけ。
 僕ら夢研究会のメンバーはいつものように会議室に集まり、夢──何度も言うようだが、将来のことではなく、レム睡眠のときに見る記憶の断片のつぎはぎのことだ──の話をしていた。
 突然、戸が開く。
みんなの視線が一斉にそちらを向く。
 そこに居たのは、見たことのない女子だった。
「なに?」とエスっ気のあるフジサワが尋ねる。
「あの、入部したいんだけど」とその見たことのない女子は言う。
「いいよ。──うちのクラブの主旨はわかってる?」と僕。
「夢を、話せばいいんでしょ?」
「そう。じゃ、ここにクラスと名前書いて」と僕はシャーペンと帳簿を差し出した。
 その女子はつかつかと机の前まで来ると、セミロングの髪を耳にひっかけるしぐさをして、帳簿にすらすらと自分のクラスと名前を書いた。このとき、男子諸君が色っぽさを感じなかったと言えば、うそだろうが、今まじめな話をしていた最中だったのだから、ちゃかすのはよしてくれ。
「──ふーん、三組の人なんだ」とヤマグチは眼鏡をしゃくり上げて言う。
「じゃあ、ちょうどきりがいいから、さっそくだけど、自己紹介がわりに、カトオカさんが今日の朝見た夢を聞かせてくれる?」と僕は帳簿に書かれた名前を注意深く見て言った。
「そう、いいわよ。──ある心の弱い女の子が、目隠しをされて、椅子に縛りつけられているの。私は手下に命令して、その女の子に劇薬の注射をしてやったの。今日見たシークエンスはそれだけ」と新入部員の女子、カトオカさんは言った。
《──》他の四人はそのグロい夢の話に沈黙で答えた。
「私、帰る」とカワシマさんは火事の避難訓練でやるように、ハンカチで口を押さえながらカバンを持って会議室から小走りで出ていった。
「あ、ちょ、ちょっと。どうしたの?」とヤマグチ。
「フフフ、ちょっと刺激が強過ぎたかな?」とカトオカさんは不気味に美しい笑みを浮かべて言う。
「うん、ちょっとね」と僕は少しひいていた。
 突然、黙っていたフジサワまでが、ものすごい勢いで会議室を出ていった。
「どったの、二人とも」とヤマグチは僕の顔を見た。
 僕は「さあね」という顔で首をかしげてみせた。


 下駄箱の手前でカワシマさんに追いついたフジサワ。
「ちょ待てよ。──見たんだろ? おまえも」
「・・・・・・」カワシマさんは黙っている。
「実は俺もなんだよ」とフジサワ。
 カワシマさんは目を見開いて、フジサワの顔を見た。
「どうして──」
「さあね。ただ確実なのは、劇薬の注射を打たれていたのは、おまえだったぜ」


 フジサワはほどなく会議室に戻ってきた。
「あいつは?」
「あいつ?」と僕。
「さっきの新入部員だよ」
「ああ、帰ったよ」
「帰った? 俺、玄関のほうに居たけど、途中、会わなかったぜ」
「体育館のほうにでも行ったんだろ。それより、おまえどうしたんだよ?」と僕はフジサワに尋ねる。
「なんでも。ただ──」
「ただ?」
「あいつは除名したほうがいい」
「なんでえ。せっかくカワイコちゃんが自分から入ってきたのに」とヤマグチはしわしわのハンカチで眼鏡を拭く手を止めて言う。
「今日、今入ったばっかりだぜ」と僕。
「カワイコちゃんは一人でいいだろ? ってアホなことを言わせるな、ものぐさ坊主! クサカ、悪いことは言わない、あいつは除名しろ」とフジサワ。
「できない」と僕はきっぱりと言った。「たしかにさっきの話はグロかった。でも、たまたまさ。ヤマグチがエロ本を万引きした夢を見たようにね。夢ってそういうもんだろ?」
「俺とカワシマの夢とリンクしていたとしてもか?」とフジサワ。
「なんだって?」と僕。
「俺たちはあの夢のことはあいつに話してないはずだ。俺もおまえたちに話した憶えはない。それなのにあいつは見た」
「ちょ、ちょっと、おまえ、何が言いたいんだよ?」とヤマグチは眼鏡をしゃくり上げながらフジサワに尋ねる。
「獏って知ってるよな」
「うん、もちろん。人間の悪夢を食べるっていう、想像上の生き物だろ? その皮を敷いて寝ると邪気を取り除くことができる。まあ、実際にも居るんだけど、そっちの伝説のほうを知ってないと夢研究会の会員とは言えないな」と僕。
「その獏を飼いならしている邪悪な存在のことは?」とフジサワ。
「なんだそれは? なんに載ってたんだ、そんなこと」と僕。
「まさかそれが彼女だって言うのか?」とヤマグチ。
「ビンゴ!」とフジサワはすばやく人差し指を立てて言う。
「ひゃあ、はははは! けっさくだな! おまえ、SFかファンタジーの映画の観過ぎだよ、そりゃあ!」とヤマグチ。
「いや、ヤマグチ、これは深刻な話だよ」と僕。
「うふ、え、おまえまで?」
「もし、そうだとしたら、僕らの夢はみんな悪夢になってしまう。そう思わないか?」と僕は言ってみる。
「えへ、思わないよ。第一、フジサワの言うことを鵜呑みにするほど、アホな話はないだろ?」とヤマグチ。
「だったら、おまえも見てみるか? 悪夢を!」とフジサワはヤマグチの襟首をつかんで、マジな形相で言った。
「まあまあ、フジサワ、少なくとも僕はおまえの言うことを信じてる。だから、ちょっと考えてみるよ」と僕は言ったものの、今はそんな気はまったくなかった。その場しのぎってやつ。
「カワシマさんに気があるのはおまえじゃないのか? あんな夢を見るなんて、エスっ気のあるおまえなら──」とヤマグチはぼそぼそと言いかける。
「なんか言ったか?」とフジサワ。
「いーや、別に」とヤマグチ。
「だからおまえはものぐさ坊主なんだ。じゃあな、クサカ」
「ああ」
 それはいつものパターンだった。違うのは、美人の新入部員が入ったということだけ。


第五章 ヒマラヤ行商人

 僕がそれを手に入れたのはまったくの偶然であると、今でも僕はそう思っている。
 日曜日、母さんにお使いを頼まれて、人通りの多いアーケード商店街を歩いていたときのことだった。道端にはアクセサリー屋だの、表札屋だの、占い屋だのといった行商人が所せましと品物を並べている。この日、僕はおもしろいものをみつけた。黒っぽい岩をぱかりと開けると、中に渦巻き模様があるのだ。僕はすぐにこれがなんであるかわかった。“アンモナイトの化石”だ。理科の教科書か何かで見たことがある。僕は博物学的な興味がわきあがってくるのをこのとき感じた。素人が見れば、なんの価値もない、汚い石だ。そういうものに価値を見い出すのが博物学なのだ!──かどうかはわからないが、とにかく僕はその目がぎょろりとして、口ひげがあり、浅黒い顔の、いかにも異国人っぽい行商人から、それを買った。以外に安かったというのもある。
 こういうものはどこで採れたかというのがわかっていないと、価値が半減してしまうらしいというのも、何かで読んで知っていた。僕はその目がぎょろりとして、口ひげがあり、浅黒い顔の、いかにも異国人っぽい行商人に産地を尋ねてみることにした。
 僕はその黒っぽい石を手に取った。
「あー、ロウカリティ? ウェア、イズ、ディス、ロウカリティ?」
 言っておくが、僕の英語のレベルはこの程度なのだ。賢い人に嘲笑の的にされるのは目に見えている。いいんだよ。だって、ここは日本だろ? 英語圏の力が強いからって、媚びを売ることはないんだ。堂々と日本語を使やいいんだよ。ただし、日本だけで。
「は? わしゃ、日本人じゃ、ぼけ! 買うんか、買わんのか?」とそのえせヒマラヤ行商人はけんか腰で言う。
「か、買います。ただ、これが採れたところを教えてください」と僕。
「ヒマラヤ! なんか文句ある?」
「い、いえ。いくらですか?」
「千円」
 僕はなけなしの小遣いの中から千円札を取り出して、えせヒマラヤ行商人に渡した。
「はい、ありがとさん」
 僕は目を人ごみのほうに向けて、歩き出そうとした。
 そのとき、動く人ごみの中に止まって、僕のほうを向いて手招きしている老人が居るのに、僕は気付いた。僕はそばまで行き、尋ねた。
「僕ですか?」
「そう、君。今買ったものを鑑定してあげよう。さ、来なさい」
「いいですよ、いくらか要るんでしょ?」
「価値は君が決めるんだよ。ま、いいから来て」
 僕はやっかいなことになったと思った。街を歩くのはこれだからいやなんだ。また、僕が人の好意を断れないたちなんだよ、これが。
 汚く薄暗い路地の一隅に、リンゴの木箱を逆さに置いて机がわりにしてあり、その上に小さなルーペ、向かい合わせに折りたたみ式のぼろい簡易椅子が置いてあった。上には白い光の出る懐中電灯がぶら下げてあった。うしろの壁には“鑑定”の文字。
 その老人は丸いレンズの小さな眼鏡をかけて言う。
「ささ、座って。例の品を見せてごらん」
「はい」と言って僕は今買ったばっかりの、くしゃくしゃの新聞紙にくるまれた、ヒマラヤで採れたらしいアンモナイトの化石をリュックから取り出し、その鑑定士らしい人に渡した。そして、その折りたたみ式のぼろい簡易椅子に腰を下ろした。ぎしっという音。
「やや、これはこれは。おまえさん、運が良かったな。これは本物だよ。化石はレプリカやフェイクが横行しておるんじゃよ。しかも、これはかのヒマラヤで採れたものに間違いない」その鑑定士はぱかりとやって、ルーペでその化石を見た。「この肋の形状、母岩の質、間違いない。今や、国が国外持ち出し禁止にしておるからな。幻の産地と言ってもいい。──なぜ、わしがこんなことに詳しいか、教えてやろうか?」
「ああ、はい」
「わしが本物のヒマラヤ行商人だからじゃ」
「ええ! そんなふうには──」
「見えない。そうさの、人は人を見かけで判断するものじゃからな。そんなことはどうでもいい。もうひとつ大事なことを言っておかなければいけない。いいかい、このアンモナイトの化石には、あるシークエンスが封じ込められておる。それが壊されたとき、おまえさんの悪夢は現実になる」
「へ? 悪夢が現実に?」
「そうじゃ」
「それはちょっと聞き捨てならないですね。実は僕、学校で夢研究会っていうクラブをやってまして──」と僕は言いかけた。
「知っちょるよ。そして、暗黒が動き出したこともね」
「暗黒って、まさか──」
「はいはい、お兄ちゃん、今度はお姉さんの番ですよ」
 その声の方向を見ると、いかにも不機嫌そうなおばちゃんが大きく膨れた買い物袋をひっさげて立っていた。
 僕は立ち上がり、すばやくアンモナイトの化石をきれいに合わせてリュックの中に入れた。その本物のヒマラヤ行商人は僕を一見して、こくりとうなずき、「はい、どんな品でしょうか」とそのおばちゃんの対応にとりかかった。


僕は家に帰った。あのヒマラヤ行商人が言ったことは半信半疑な気分で認識していた。考えてみれば、それは当然ではないか。だって、世の中、半信半疑なことだらけなんだから。


第六章 アンモナイトの夢

 僕はその日の夜、いや、次の日の朝と言ったほうがいいか、とにかくアンモナイトの夢を見た。
 海をユラユラ、プカプカと漂っている夢。
巨大な水棲恐竜に次々と食べられてしまう夢。
アンモナイトたちの痛みが伝わってきた。
そして、こう思った。「これが自己犠牲というものなのだ」と。
 朝、起きると映画を観て泣いたときのような、精神状態になっていた。涙も出ていた。寝ながらにして、涙を流すなんてことはありえるんだろうか? まあ、実際に体験したのだから、ないことではないのだろう。
 僕は学校で放課後、連中にそのことを話し、帳簿につけた。
 フジサワが大笑いする。
「フハハハハハ! おまえ、アマちゃんなのか? 夜泣きって言うんだよ、そういうのを。ママが恋しいのか?」
「フジサワ君、ちょっと、ひどいんじゃない?」とカワシマさん。
「すまん。本気でそう思ったんじゃないよ。つまりその、ご愛嬌ってやつ?」とフジサワ。
「笑えねえよ、フジサワ。『銀河鉄道の夜』に出てくるサソリの話を知らないのか?」とヤマグチ。
「知らねえ」
「じゃあ、カンパネルラがどうして川へ入ったのかということも、当然?」
「うん」
「これだからな。このクラブにものを知らないやつが居るっていうのはどうなんだい、クサカ」とヤマグチ。
「まあまあ、そういう方向に行くのはやめにしてくれ。とにかく、これがそのアンモナイトの化石だよ」と言って僕は、カバンからそれを取り出し、みんなに見せびらかした。ぱかっとやってみせる。
「はあん、ただの黒い石にしか見えないけど」とフジサワ。
「おまえには当然そう見えるだろ」とヤマグチ。
 フジサワとヤマグチは二人でちょっと険悪なムードを作る素質があるようだ。僕かカワシマさんがそれを軌道修正しなくてはならない。
「まあ、これでみんなにも夢のパーツが記憶されたわけだから、リンクしてもおかしくないだろうね。それで──」と僕は言いかける。
「ちょっと、いいかしら」と、さっきまで壁に寄りかかって腕組みをして黙っていたカトオカさんが口を開いた。「私ね、アンモナイトの化石をかたっぱしからぶっ壊す夢なら見たけど」
《え?》みんなの視線がカトオカさんに集中する。
「ほら、言っただろ?」と言わんばかりの顔でフジサワが僕に向かってあごをしゃくった。
「なんの役にも立たずに死んでいったやつらの痕跡なんか、見たって仕方ないでしょう? それともなに? 役立たずの死体を見て、あなたたちは満足なの?」とカトオカさん。
「カトオカさん、それは違うよ。僕は自己犠牲がいかに尊いことかを、夢から学んだってことなんだよ」と僕は言ってみる。
「誤解してるのはあなたよ、クサカ君。アンモナイトたちは肉食恐竜に食べられないように、殻を硬くし、巨大化し、変形もした。無慈悲に食べられてしまうのが嫌で嫌で仕方なかったからよ。自己犠牲なんて、生きている者が思うことじゃないの。絶望してれば、別だけど」とカトオカさんは言う。
「でも──」と僕は言いかける。
「反論する気があるなら、証明してみなさいよ。悪夢を現実にしてね!」
 そう言うと、カトオカさんは机の上に置いていたアンモナイトの化石をつかみ、思いきり床に投げつけた。意外とにぶい音を出し、言うまでもなく、それは粉々になってしまった。
「あーあ、掃除が終わったばっかなのに」と言ってヤマグチは掃除用具入れからホウキとチリトリを出して、さっさと掃除を開始した。
カワシマさんがチリトリを持って手伝った。
「なんてことを。君はやっぱり、“暗黒”なのか?」と僕。
「あんこく? なにそれ? とにかく、これで思い知ることになるわ。あなたたちの考えが愚かだということがね。それじゃ」
カトオカさんはすました顔で会議室を出ていった。
「クサカ、これいくらしたんだ? って訊いてる場合か、坊主。悪夢を現実にするってどういうことだ?」とフジサワ。
「俺は何も言ってねえぞ」とヤマグチ。
「だまれ、クソ坊主眼鏡。おまえなら言いかねないんだよ」とフジサワ。
「おまえがそう思ったんだろ?」とヤマグチも負けていない。いや、勝ち負けを論じている場合ではない。
「二人ともやめて。──カトオカさんが言ったことが本当だったら、大変なことになる。そうでしょ、クサカ君?」とカワシマさん。
「うん、ヒマラヤの行商人も言ってた。壊せば、悪夢が現実になるって」と僕。
「大丈夫だって。たとえ、悪夢を見たとしても、目が覚めれば、現実に戻る。そういう意味だろ?」とフジサワ。
「おまえがそう言うとは思わなかったな。気が変わったのか?」と僕。
「気付いたんだよ。夢に心を支配されたら、おしまいだってね。──さあ、もうおひらきにしようぜ。腹減ってきたよ。じゃあな」とフジサワは言うとカバンを持って帰っていった。


 その日は何事もなく終わった。僕はいつものように県営アパートである自宅に帰り、一人で晩飯を食い、テレビを見、シャワーを浴び、歯を磨いて、床に就いた。母さんが帰ったのは夜十一時近くだった。


第七章 悪夢

 僕はその夜、世にも恐ろしい悪夢を見た。
 母さんと父さんが僕を殺そうとする夢だ。
 僕は血だらけになった父さんをバットで威嚇した。すると、父さんはビール瓶を逆さに持ち、半分割って、振りかざした。
「てめえ! 死にやがれ!」と父さん。
「あんた、やっちまいな!」と言う母さんの手には僕の血が付いた包丁が。
「なんで! なんでなんだ、母さん、父さん?」と僕は半泣き状態。
「うるせえ! 死ね!」
 僕のバットを持った手は動かなかった。父さんの持った半分割れたビール瓶の鋭い先が、僕の頬をかすめた。鮮血が流れる。僕の手も、いや、手と言わず体中が血だらけになっていた。
「なんでなんだ!」
 僕は跳び起き、上体を起こすと、「なんでなんだあああああああ!」と大声で叫び、両手で両頬を思いっきり二回叩き、一回大きく深呼吸した。その声は虚しく闇になじんで消えただけだった。母さんも起きてこない。また、涙が出ていた。これはあくびのせいじゃないと断言できるし、赤ん坊がよくやる夜泣きでもないと公言できる。僕はこの悪夢を夢だと認識した。だから、起きたら現実の分別ある自分に瞬時に戻った。と思う。
ひどいことを体験すると、脳が勝手にその記憶を消すそうだが、これはその逆のことなのだろうか? つまり、消された記憶が悪夢として再生されたということかもしれない。あるいは前述したと思うが、何かから逃げたいという潜在的な欲求がそういう悪夢を作り上げたとも言えるのかもしれない。まあ、この後者の説は却下したい。なぜなら、今の僕は母子家庭であってもうまくやっていけているからだ。しかし、たとえ酒乱の父親であっても、一緒に暮らしていないことが精神に不安をもたらしていないとは自分でも言い切れない。そこがミソだな。
僕は布団から出て、カーテンを開けてみた。外はまだ暗い。そりゃそうだ。深夜二時だからな。僕は部屋の照明をつけ、トイレに行き、戻ってくると、机の上の辞書を手に取り、あの言葉を引いた。
「利他・・・・・・自分の犠牲によって、他人を幸福にすること」
 はっきり言って、忘れそうになる意味合いだ。そのために簡潔な言葉があり、辞書があるのだ。
 僕は照明を消し、布団に入り、寝た。


 その日、僕は一日中、気分が悪かった。授業の内容もあまり覚えていない。
 放課後、会議室で一人、腕組みをしてぼうっと椅子に座っていた。そこへ連中が入ってくる。みんな浮かない顔だ。
「どうしたんだ?」と僕。
「おまえこそ、どうしたんだよ。けっぺえ顔だぜ」とフジサワ。
「今日──」と僕は言いかける。
「悪夢を見た」とヤマグチ。「みんなそうなんだ。フジサワも、カワシマさんも。今日はもう解散にしないか?」
「いいけど。カトオカさん、見なかった?」と僕。
「あんなやつ、ほっとけ。おまえが言いたいことはわかってる。あの化石をあいつがぶっ壊したせいじゃないって言いたいんだろ? だが、実際、あいつの予言どおりになった。半分な。俺たちが見た悪夢が現実になっちまったら──」とフジサワは言いかける。
「やめて!」とカワシマさんは両手で両耳を押さえた。「私、あんなこと。いや、絶対にいやよ」
「カワシマさん、大丈夫?」と僕。
 そのとき、がらっと戸が開く。
「あら、みんな、おそろいね。気分はどう?」とカトオカさん。
「てめえ!」とフジサワ。
「よせ、フジサワ」と僕はフジサワを制止する。「カトオカさん、君はいったい何がしたいんだ? 君がその──“暗黒”だとしたら、何が望みなんだ?」
「クサカ?」とヤマグチ。
「フフフ、アハハハハハ! みんなにいいもの見せてあげるわ。一緒に来て」とカトオカさんは言う。
 僕らはカトオカさんについて、屋上まで来た。なんでこんなところなんだ? 僕は勘付いていなかったわけではない。しかし、まさかと思っていたのだ。カトオカさんがフェンスをのり越えて、一段高くなった屋上の縁に立つまでは。
 フェンスをよじ登るカトオカさんに「何をするんだ?」とフジサワが尋ねたが、答えない。そして、一段高くなった屋上の縁に立ってカトオカさんはこちらのほうを向いた。強風が吹き、カトオカさんはふらついている。そして、僕らに向かって言う。
「みんなに見せてあげる。これが本当の自己犠牲よ」
 他四人はゆっくりと両手を広げるカトオカさんを無言で見た。言葉が出なかったのだ。
「よ、よせ! カトオカさん!」と僕はやっと声を出す。
「カトオカ!」とフジサワ。
「カトオカさん!」とヤマグチ。
「やめて!」とカワシマさん。


第八章 エピローグ──全員夢──

《!》カトオカさんは気を失ったように目をつむり、手を広げたまま、ゆっくりとうしろに倒れていった。
 死ぬ瞬間に見えるという、走馬灯のようなシークエンスの激しい逆流が、その一瞬に他四人に起こった。藪をかきわけて、ひらけたところにあったのは理科室だった。そして、画面はその理科室の窓際に置かれた水槽に近づいた。他の生徒たちのらしい、嘲弄の笑い声がこだましている。水面に白くなって浮かんでいたのは、体験実習か何かで誰かが川で捕まえた一尾の名もない川魚だった。いや、厳密に調べれば名前はあるだろうが、僕らにとっては“名もない魚”。つまり、それは僕らにとって“価値がない”と言うのと同じことだ。水面に白くなって浮かんでいるその川魚はぴくりとも動かない。死んでいるのだ。僕らが悪夢のあとに見たもうひとつの夢はこれだ。夢は朝起きると忘れてしまうことのほうが多いのだ。
 そしてその瞬間、僕ら四人には天使のような真っ白い大きな翼が背中に生え、はばたいて空を飛び、落下するカトオカさんをみんなで支え、ゆっくりと地上に降り立った。
 カトオカさんはゆっくりと目を開ける。
「ありがとう、みんな。──ありがとう」


 僕は気が付くと、夕暮れ時の空を見ていることを認識した。いわゆる、逢魔が時に近い時刻だった。上体を起こし見まわすと、カワシマさん、フジサワ、ヤマグチが倒れていた。しかもここは、学校の屋上だ。ってことはさっき見たのは? 僕はフェンスをのり越え、縁から顔を出し、下をのぞいた。まばらな帰宅する他の生徒たちが見えただけだった。カトオカさんの姿はどこにもなかった。三人が起き上がり、僕の顔を見る。
「見た?」と僕。
 みんな無言でうなずいた。


 それから僕らは職員室で理科室の鍵を借り、そこへ急いだ。
 そこには、あった。
 理科室の窓際に置かれた水槽の中に一尾の名もない川魚の白くなった死体が浮いていた。
僕らは校庭にある「清く、正しく、朗らかに」という文字が彫ってある石碑のたもとの植木の横に、定規やシャーペンを使って穴を掘り、その名もない川魚の死体を埋めてやった。
僕はこのとき、この石碑に“利他”という言葉──自分を犠牲にして、他人を幸福にすること──を加えて欲しいと思った。カトオカさん、いや、名もない川魚が自分を犠牲にして、僕らに何か幸福をくれたとするなら、“他を思いやり、助ける”という心を僕らに芽生えさせてくれたのだから。繰り返すようだが、僕らはそれを幸福だと思っている。


 その後、すぐに僕はあの夢の一部始終を夢の帳簿に書き加え、一番最後のページにこういう一文を書いておいた。
《全員夢──それは読んで字のごとく、全員が同時に同じ夢を見るということ。夢とはつまり、将来について云々ではなく、人間がレム睡眠に入ったときに見る、そうその“夢”です。あの全員夢は、僕らに幸福をくれました。みなさんにも、そんな夢が見られるといいですね。──この帳簿を見てくれた人へ、夢研究会一同より》
 ただ、僕が今でもわからないのは、あの夢の始まりがいつだったのかということ。
 夢に従って生きるほど、恐ろしいことはないかもしれない。とくに悪夢に。僕は、父さんが悪夢に従って生きているのだという仮説を抱いている。でも、たしかに、いい夢も存在する。──と、僕は思いたい。
この物語はフィクションです。
online:  total:
Amazon - ビジネス | オーディブル | ミュージック | プライム | 学生 | ファミリー
楽天 - ブックス | ファッション | DL | ブランド | 出店案内 | カード | 査定サービス
水面文庫 - ご感想・ご意見・お問い合わせ