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理念について

生きることに、意味や価値がないなどと、どうして言えようか

これが現在のところ、水面文庫の理念として掲げている文言です。考えてみてください、自分が生きていることを否定してしまう生き物が、人間のほかに存在するでしょうか? 人間と言いましたが、もちろん、人間のはしくれである私自身も含まれています。人間が自分の生を否定してしまうのは、心身の不調に起因する場合と、普段の考え方(観念)による場合があると思います。前者は医療のお世話になることで改善するかもしれませんが、後者の場合、クスリを飲んでよくなるものではありません。私が文章を書いて、めざしているものがあるとするなら、いわば、観念の病を寛解させるクスリとか、サプリメントみたいな小説作品を発信して、人類に貢献することです。私にとって文章を書くことは、読者を救う前に、最初の読者である私自身を救う行為でもあります。著者のページのプロフィールでも言及しているとおり、私が全力で取り組みたいことは、「人間が生きていることを肯定できるような答えの探求」です。なぜかと申しますと、何を隠そう、私は自分が生きていることを肯定できないでいるからです。本当に生きることには意味や価値があるのだろうか? ないのではないか? そういう疑念や迷いをかかえたまま生きていると不安感しかありません。大切なのは、人間(私も含めて)が、元気に生きてゆくこと──そのために私が発信できることはなにかを常に考えながら、このサイトを運営してまいります。したがって、この理念は変わることもあります、あしからず。
【更新日:2020/12/23】


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水面文庫について
著者について
【更新日:2020/12/26】


作品について

小説作品を制作するにあたって、当初こだわっていたのは、すべての作品のなかに「石」を登場させることでした。どこに出ているかとか、どういう形で出ているかなどは、とくに明示することなく、秘密にしてありました。ヒントとしては、あからさまに「石」とか「ストーン」とかいう単語で表現されているとは限らないことです。これは、蒐集癖のある、執着心の塊みたいな性格だった人生の一地点で、しでかしてしまったことです。しかしながら、2015年頃には、必ずしも、そのカテゴリに当てはまりそうにない作品が多く生まれました。この小説づくりにおける考え方の変遷は、1000字小説集に掲載している私的ランキングの部門数の多さからもうかがえるでしょうか。ぶっちゃけて言うなら、「石」だけにこだわっていると、創作の幅がぐっと狭くなるような気がしてきたので、考えを改めたらしいです。とある大家がおっしゃるには、それ一つだけを見ていたのではいけない、いろんなものを見なさいと。当たり前かもしれませんが、一つのことに打ち込むには、それ一つだけを見ていたのでは、その一つのことでさえ、わからなくなります。他のもの、種々雑多なものを見ることによって、やっと一つのことが見えてくる。そういう意味だと思います。また、ある大家がおっしゃるには、作家というものは、何でも一流のものを体験しろと。一流の定義が怪しいものの、要は、それくらいせねば、本当の良い作品はつくれないということなのでしょう。

映画などの作品に触れて、イマジネーションなり、インスピレーションなり、モチベーションなりを抱くことは、子供のころはよくありました。あの頃、感じたことを文章で表現する能力があったなら、どんなに良い作品ができただろうかと口惜しく思います。お世辞にも、いい大人とは言えない大人になった今、それらを感じることが極端に少なくなりました。今、小説作品を書くとしたら、子供の頃のことを思い出しながら、書くしかありません。というのも、くだらない大人が考えたことがウケるとは思えないし、子供のときに直感的に思ったことのほうが大切なことだと思うからです。

もともと不思議な物語に並々ならぬ憧憬を抱いていました。そのせいで、いわゆるファンタジー味のある作品を無性につくりたくなったのです。完成した作品たちは一応、「現代ファンタジー」と呼ぶことにしています。このカテゴリは、ファンタジー作品の区分としては、「ロー・ファンタジー」に属します。完全なる空想の世界(ハイ・ファンタジー)も好きですが、それと絡めた現代モノがとくに好きだったワケです。

どういう経緯で、私は現代ファンタジーを好きになったのか? 思うに我々の住む世界そのものが現実だとすると──誰が何と言おうと、この世界は「現実」なのでしょうが──ファンタジーの要素がまったくない現実世界なんて、おもしろくないでしょう? この現実世界そのものや、夜見る夢も、人生の諸々も、生き死にすらも、現象すべてに意味を与えてくれるものの一つが、ファンタジー要素ではないでしょうか。それに触れたとき、人の心が救われることも必ずあるはずです。そう思うのは、何を隠そう、私自身の心が救われた、または、たとえ勘違いだとしても、救われた気になった、そういう経験があるからにほかなりません。

現実世界では、つらいことばかりが起こっているように思ってしまいがちですが、それを乗り越える一つの手段としてファンタジーがあると思います。私にとっての最初の問題はそれを伝える手段を何にするかでした。映画は無理。漫画や、アニメも絶対無理。音楽も無理。しかし唯一、文章を書くことだけは、私にとって一番身近で簡単な──誤解されないために言っておきますが、文章を書くときに、それをなめてかかったことは一度もありません──手段でした。それはまるで水を得た魚のようでした。専門に文章で表現する方法を学んだわけではないことが、逆に、怖いもの知らずの向こう見ずな作家──恐れ多くも、そう言っていいならですが──を誕生させました。

誕生したのは、母のおかげでした。作家と大仰に自称する以前の文章を書くことを志した時、母はまだ健在でした。この時から、「母は、いずれこの世から居なくなるんだな」という、慢性的な絶望感に突き動かされて、文章をつづり始めたのです。本当のことを言うと、実はずっと昔の、まだ小さな子供だった頃から、この絶望感を抱いていました。2013年の夏、実際に母が亡くなってから、しばらくはあまりに悲しみが深く、文章を書こうという気はあまり起こらず、その時の自分の心境とシンクロする映画などを貪欲に漁っていました。中年フリーターによく見られるという「諦観」もありましたが、諦めつつも、何となく少しでも前に進んでいるほうがいいのかなとは思っていました。その意味では、完全に諦めているわけではなかったようです。はっきり言えないのは、そのあたりの私の心の変容が、自分でも把握できていないからです。一つはっきり言えることは、「あわよくば」と、今でもまだ執拗に思い続けている点です。我ながら、未練がましいにもほどがあるというものです。しかし、希望だけは、少しでもいいから、持っていようかなとは思います。でなければ、まともな作品なんかつくれません。何事にも必要不可欠なもの、それは「希望」だと言っていいはずです。

概要と言えるほどの体系的な概念は持ち合わせていませんが、前述のとおり、1000字小説集の私的ランキングの部門名をご覧いただくと、少しはそれらしきものがうかがえると思います。私の興味関心は、様々な方向に突っ走っています。「現代ファンタジー」とは言えない作品もあるかもしれませんが、私の小説作品の傾向の基本は、文字通り、「現代」と「ファンタジー」という二つの視点を融合させたものです。このカテゴリは、あまり認知されていないようですが、そのあたりは気にせず、自分なりに表現してゆこうと思っております。

お楽しみいただければ、幸甚です。
【更新日:2020/12/17】


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